2021年6月新発売!花火師と共同開発した焚き火の色を変える「炎神」の誕生秘話

2021年記事

全国

この記事は2021年花火特集のものです。最新トピックスはこちら

2021年6月4日、コロナ禍において需要が高まるキャンプ用品界に新商品が発売された。パッケージ表面に炎の神「烏枢沙摩明王」がデザインされた「炎神(えんじん)」だ。”炎の色をカラフルに変える魔法の粉”とうたう同商品の使い方は、袋ごと炎のなかに投げ込むだけ。すると途端に炎の色が変化し、これまでとは違った焚き火を楽しめるという代物だ。

開発・販売を手掛けるのは、おもちゃ、インテリア、アウトドア用品などさまざまなアイテムの輸入・販売を行う「マウンテンフィル合同会社」(大阪府大阪市)の山野裕之さん。日本の花火師の技術ありきだったという「炎神」の開発秘話を聞いた。

「炎神」パッケージ。原料から包装にいたるまでを国内製造にこだわった
「炎神」パッケージ。原料から包装にいたるまでを国内製造にこだわった


既製品より高品質のものを日本で作りたい!

【写真】投入すると炎の色に変化があらわれる
【写真】投入すると炎の色に変化があらわれる

2019年、アメリカで"焚き火の色を変化させる商品"が販売されていることを知った山野さん。もともとキャンプ好きだったこともあり、さっそく取り寄せて試してみたところ、その神秘的な色合いに心を奪われ、「これは自分以外にも多くの人が楽しめるのでは」と自身で輸入販売を始めたという。

珍しい製品ということもあり、予想以上の反響を得ることができた。一方で世界中に出回っている同じ効果の製品はすべて中国製で、内容物が漏れるといった不良品率も高く、また成分についても公的機関で分析すると不純物の含有量が多かったという。商品の品質に疑問を持つようになった山野さんは、もっと良質なものを日本で作れないかと考えた。しかし、炎の色が変わる仕組みである「炎色反応」を起こすために必要な金属化合物(化学物質)を、一般人が入手することは難しい。

「そこで、『炎色反応』を応用した商品はどんなものがあるかを考えてみたんです。そしたら、日本には『花火』があった。これは花火師さんに協力をお願いするしかない!と思いました」(山野さん)

日本の花火師の技術を借りて、”美しい発色”を目指す

滋賀県の花火製造会社「柿木花火工業」と共同で開発
滋賀県の花火製造会社「柿木花火工業」と共同で開発

花火業者が加盟している「日本煙火協会」のリストを元に、東海地区から九州地区までの花火業者へ片っ端から電話でオファーをかけるも、なかなか内容を理解してもらえなかった。電話をかけ続けるなか、「国内で作るのは厳しいかもしれない」と諦めかけていたころ、滋賀県の「柿木(かきのき)花火工業」が唯一興味を示してくれた。

「『日本の花火職人だからこそできる、安全で美しい発色の製品を一緒に作っていこう』という柿木社長の言葉があったから、開発に踏み出せました」(山野さん)

実際に花火師と動き出してわかったことだが、そもそも花火と焚き火では炎の質が異なるため、花火と同じように金属化合物を配合しても同じような発色にはならない。鮮やかな色の変化を実現するため、花火師の長年の経験と勘を頼りに約1年間、試作と実験を繰り返した。そして2021年6月、『炎神』の発売にたどり着いた。

使い方は「炎のなかにポイッ」でOK

使用方法はいたって簡単。3袋1セットになっている『炎神』をミシン目に沿って1袋ずつ切り離し、そのまま炎のなかに入れるだけ。すると投入した付近の炎の色が変化。2袋目以降は、色の変化が全体に広がるよう投入箇所を変えるのがおすすめ。変色時間は約30分。花火ではないため、花火禁止のキャンプ場や海などでも使うことができる。

炎に接触することで反応する原理(炎色反応)を用いた商品なので、炎の付いていない箇所に置いてしまうと何も起こらないので注意。また、火薬などの発火物や可燃物を含んでいないため、単体で燃え続けることはできない。薪などで育てた炎のなかに投入しよう。

3袋1セット。ミシン目に切り取って使おう
3袋1セット。ミシン目に切り取って使おう


実は一番こだわりたかった点は今も開発を継続しているとのこと。それでも発売に踏み切った理由を、山野さんは「現状市場に出回っている中国製の類似商品に比べれば、きれいな発色を実現することができたから」と話す。いずれは開発中の”一番のこだわり部分”を反映させたリニューアル版も販売したいとのこと。

ゆくゆくはリアル店舗でも販売を予定しているが、現在はネットショップでのみ購入できる。

情報は2021年6月30日 13:31時点のものです。おでかけの際はご注意ください。

おすすめ情報

閲覧履歴

  • 最近見た花火大会のページはありません。